Abema primeの放送では伝えきれなかったこと
こんにちは。 こどまっぷのさとこです。 昨日のABEMA Primeを見てくださった方もいらっしゃるかと思います。 今週はLGBT特集ということで、12日の子を望む同性カップルというテーマでした。
1週間はアプリ上で見ることができるそうなので、まだ見てない方はチェックしてみてください。 今回、こどまっぷではコメンテーターとしての出演以外にも、番組の監修に携わらせていただきました。 放送される部分について、表現に配慮が必要な部分、事実などに誤りがないよう色々な方に確認やご協力をいただきました。 ありがとうございます。 生放送ということもあり、うまくお伝えできなかったこともたくさんありましたので、番組に関連して、 詳しく触れられなかった点について何点かこちらでお伝えさせていただきます。 (番組で扱っていた点なので、範囲を絞ってお伝えさせていただきます。)
<子どもがほしいカップルはまず何をしたら良いか>
できる限りたくさんの情報を集めることが大事だと思います。 ただし子どもが関わることなので、オープンにできない情報もありますし、子作り子育てに関して、話すことがどこか話しづらい、 タブー視されているように感じることもあります。 情報を集めることも難しいと感じるかもしれないし、カップルで孤立してしまうことも少なくありません。 でも実際に子どもを育てている人はすでにいますので、いろいろな方の話を聞いたりして、実際にどうしていきたいのかなどしっかりと話し合うことが大切になってくると思います。
<セクシャルマイノリティが子どもを持つまでの課題>
それぞれ状況が違うため、様々な課題があります。 そもそもセクシャルマイノリティが子育てする想定がされていませんので、 日本の法整備なども同性婚がある他の国と比べて遅れています。 例えば番組で触れられていた代理出産については、主に3つの側面による課題があると思います。
一つ目が法律面。
日本では「日本産科婦人科学会」において、代理出産の実施を認めておらず, 海外での代理出産によって生まれた子の親子関係を巡って裁判が行われるなどの事案も発生しており、早期の法整備が求められます。 二つ目に経済的負担の部分。 なかなかすぐに決断して、踏み出せないような、かなり高額の費用になります。 三つ目に倫理面の部分です。 どの方法についてもそうですが、代理出産についても様々な意見があります。 例えば女性への搾取にならないのかなどの議論もありますが、日本で代理出産が認められていない分、まだ議論が十分にされていないところも課題の一つといえるかと思います。 続いて女性同士のカップルが精子提供を受けるの際の課題ですが 海外のバンクではシングルや同性カップルでの利用も可能ですが、日本ではそもそも同性カップルが利用できるような精子バンクはない状況ですので、全て個人での交渉や判断となります。 そのため、個人間で精子提供を受ける際に、トラブルになるケースもあるようです。どの様な形で提供をうけるかについてのトラブルや、 ドナーの身元や信頼関係についてのトラブル(病歴や性感染症や他の方に提供したことがあるのか)を耳にすることがあります。 又、ドナーになる人が提供する人数を制限する法律などがないので将来的に兄弟と出会う可能性もあり、以下のように安全なドナーから提供を受けられる環境を整えることが求められています。 ・提供人数を規制したり悪質なドナーを規制する法整備・病院側がバンクの受け入れを行えるようにする・ドナー側に法律上の親としての義務を負わせないなどの法整備・精子バンクを作る など。 又、病院への受診が困難であることも大きな課題のひとつです。 基本はシングルも含めて、いくらパートナーシップ制度のある自治体に住んでいようと、 現状は生殖補助医療の助成金もでませんし、そもそも病院に来ることを想定されていません。 その他の課題としては、家族や職場などの周りの理解を得るのが難しいことなど、環境面における課題もあります。 (伝統的な家族感こそが正しいと思い込んでいる上の世代からの理解が得られないことで、諦める人も少なくありません。)
<里親について、国は同性カップルを想定していないのか>
大阪や名古屋で認定の事例が出ましたが、まだまだ認識が広がっておらず、認定されるということを当事者が知らなかったりする現状があります。 また、里親として認定されても実際に委託されるかは自治体の判断なので、 形だけ認定されても委託を避けられる恐れがあることも否めません。
<起こりうる問題のリスクを軽減するために何が必要か>
繰り返しにはなりますが、法整備も不十分で、医療機関にも満足に通えない状況です。 必要なのは当事者の今、現実の問題を聞いて、先々に起こりうるトラブルなどの想定、実際にあったトラブルなど リアルな声に基づいた調査や研究することです。 ただ、そんな中でもやっていくためには、自分たちで工夫していくしかありません。 例えば私たちの団体では、子を持つ前に確認するチェックリストというものを作っています。 お互いの認識をすり合わせたり、しっかり話し合うことが必要だと伝えています。 ドナーなど協力者がいる場合には、お互い納得するまで話し合って、その条件などを書面に残すことで 全ては解決はしないものの、リスクを下げる手立ての一つにはなると思います。 海外の精子バンクではドナーはドナーとしての立場なのでそれ以上の権利や義務が生じることがありませんが、 日本ではドナーの立場に関しての決まりがないので、そう言った部分も踏まえて、しっかりと調べて確認をしていくことが大事です。
<子どもの出自を知る権利について>
いろいろな意見があると思いますが、おそらくもし自分自身が精子提供や代理出産で生まれた子どもだったら、自分のルーツ、どこからきて、誰の子どもなのかと言う部分はとても気になる部分だと思います。 一方で、精子ドナーに関する規制や法整備もない中ですと、子ども側からドナーに対して「認知」を求めることができるため、ドナーの身元が分かっていることで、ドナーにとっても望まない状況になる可能性もあります。ドナーの情報はある程度オープンである、例えば大人になったら、望めば会えるなど、そういった部分があった方がいいとは思いますが、そのためにも法整備などが必要になってくると思います。
<こどまっぷは具体的にはどういう活動をしているか>
様々な都市で当事者に向けて、初心者講座などの情報共有も含めて、それぞれ繋がりをもてるよう活動しています。 多様なかぞくと出会うことができるピクニックや、子どもがほしいLGBTQたちの出会いの場を提供したり、理解のある医療機関や専門家との橋渡しなどもしています。 その他同じような海外の団体とつながったり、企業のファミリーサポートなどの導入に携わったり、最近では個々の「違い」をテーマにした絵本も出版しました。 LGBTの認知度が高まってきた今、少しずつ生きやすい世の中に変わりつつありますが、まだまだ根強く残る偏見もあり、大変なことも少なくないと思います。 人によって直面する困難も異なることでしょう。 毎日ではないかもしれないけれど、何かあったときに行ける場所があること、相談できる誰かがいることはとても大切なことだと思います。 違いを持つ一人一人がお互いを大切にできる社会はたくさんの人にとっても生きやすい社会だと信じています。 こどまっぷでは人との繋がりを、優しさや力に変えて日々活動を続けています。 ※ここに書いてあることは個人の意見でもあります。なお、断りのない文章や画像の無断転載、無断使用などは一切禁止いたします。必ずお問い合わせください。
2020.10.13 こんにちは。 こどまっぷのさとこです。 昨日のABEMA Primeを見てくださった方もいらっしゃるかと思います。 今週はLGBT特集ということで、12日の子を望む同性カップルというテーマでした。 1週間はアプリ上で見ることができるそうなので、まだ見てない方はチェックしてみてください。 今回、こどまっぷではコメンテーターとしての出演以外にも、番組の監修に携わらせていただきました。 放送される部分について、表現に配慮が必要な部分、事実などに誤りがないよう色々な方に確認やご協力をいただきました。 ありがとうございます。 生放送ということもあり、うまくお伝えできなかったこともたくさんありましたので、番組に関連して、 詳しく触れられなかった点について何点かこちらでお伝えさせていただきます。 (番組で扱っていた点なので、範囲を絞ってお伝えさせていただきます。)
<子どもがほしいカップルはまず何をしたら良いか>
できる限りたくさんの情報を集めることが大事だと思います。 ただし子どもが関わることなので、オープンにできない情報もありますし、子作り子育てに関して、話すことがどこか話しづらい、 タブー視されているように感じることもあります。 情報を集めることも難しいと感じるかもしれないし、カップルで孤立してしまうことも少なくありません。 でも実際に子どもを育てている人はすでにいますので、いろいろな方の話を聞いたりして、実際にどうしていきたいのかなどしっかりと話し合うことが大切になってくると思います。
<セクシャルマイノリティが子どもを持つまでの課題>
それぞれ状況が違うため、様々な課題があります。 そもそもセクシャルマイノリティが子育てする想定がされていませんので、 日本の法整備なども同性婚がある他の国と比べて遅れています。 例えば番組で触れられていた代理出産については、主に3つの側面による課題があると思います。
一つ目が法律面。
日本では「日本産科婦人科学会」において、代理出産の実施を認めておらず, 海外での代理出産によって生まれた子の親子関係を巡って裁判が行われるなどの事案も発生しており、早期の法整備が求められます。 二つ目に経済的負担の部分。 なかなかすぐに決断して、踏み出せないような、かなり高額の費用になります。 三つ目に倫理面の部分です。 どの方法についてもそうですが、代理出産についても様々な意見があります。 例えば女性への搾取にならないのかなどの議論もありますが、日本で代理出産が認められていない分、まだ議論が十分にされていないところも課題の一つといえるかと思います。 続いて女性同士のカップルが精子提供を受けるの際の課題ですが 海外のバンクではシングルや同性カップルでの利用も可能ですが、日本ではそもそも同性カップルが利用できるような精子バンクはない状況ですので、全て個人での交渉や判断となります。 そのため、個人間で精子提供を受ける際に、トラブルになるケースもあるようです。どの様な形で提供をうけるかについてのトラブルや、 ドナーの身元や信頼関係についてのトラブル(病歴や性感染症や他の方に提供したことがあるのか)を耳にすることがあります。 又、ドナーになる人が提供する人数を制限する法律などがないので将来的に兄弟と出会う可能性もあり、以下のように安全なドナーから提供を受けられる環境を整えることが求められています。 ・提供人数を規制したり悪質なドナーを規制する法整備・病院側がバンクの受け入れを行えるようにする・ドナー側に法律上の親としての義務を負わせないなどの法整備・精子バンクを作る など。 又、病院への受診が困難であることも大きな課題のひとつです。 基本はシングルも含めて、いくらパートナーシップ制度のある自治体に住んでいようと、 現状は生殖補助医療の助成金もでませんし、そもそも病院に来ることを想定されていません。 その他の課題としては、家族や職場などの周りの理解を得るのが難しいことなど、環境面における課題もあります。 (伝統的な家族感こそが正しいと思い込んでいる上の世代からの理解が得られないことで、諦める人も少なくありません。)
<里親について、国は同性カップルを想定していないのか>
大阪や名古屋で認定の事例が出ましたが、まだまだ認識が広がっておらず、認定されるということを当事者が知らなかったりする現状があります。 また、里親として認定されても実際に委託されるかは自治体の判断なので、 形だけ認定されても委託を避けられる恐れがあることも否めません。
<起こりうる問題のリスクを軽減するために何が必要か>
繰り返しにはなりますが、法整備も不十分で、医療機関にも満足に通えない状況です。 必要なのは当事者の今、現実の問題を聞いて、先々に起こりうるトラブルなどの想定、実際にあったトラブルなど リアルな声に基づいた調査や研究することです。 ただ、そんな中でもやっていくためには、自分たちで工夫していくしかありません。 例えば私たちの団体では、子を持つ前に確認するチェックリストというものを作っています。 お互いの認識をすり合わせたり、しっかり話し合うことが必要だと伝えています。 ドナーなど協力者がいる場合には、お互い納得するまで話し合って、その条件などを書面に残すことで 全ては解決はしないものの、リスクを下げる手立ての一つにはなると思います。 海外の精子バンクではドナーはドナーとしての立場なのでそれ以上の権利や義務が生じることがありませんが、 日本ではドナーの立場に関しての決まりがないので、そう言った部分も踏まえて、しっかりと調べて確認をしていくことが大事です。
<子どもの出自を知る権利について>
いろいろな意見があると思いますが、おそらくもし自分自身が精子提供や代理出産で生まれた子どもだったら、自分のルーツ、どこからきて、誰の子どもなのかと言う部分はとても気になる部分だと思います。 一方で、精子ドナーに関する規制や法整備もない中ですと、子ども側からドナーに対して「認知」を求めることができるため、ドナーの身元が分かっていることで、ドナーにとっても望まない状況になる可能性もあります。ドナーの情報はある程度オープンである、例えば大人になったら、望めば会えるなど、そういった部分があった方がいいとは思いますが、そのためにも法整備などが必要になってくると思います。
<こどまっぷは具体的にはどういう活動をしているか>
様々な都市で当事者に向けて、初心者講座などの情報共有も含めて、それぞれ繋がりをもてるよう活動しています。 多様なかぞくと出会うことができるピクニックや、子どもがほしいLGBTQたちの出会いの場を提供したり、理解のある医療機関や専門家との橋渡しなどもしています。 その他同じような海外の団体とつながったり、企業のファミリーサポートなどの導入に携わったり、最近では個々の「違い」をテーマにした絵本も出版しました。 LGBTの認知度が高まってきた今、少しずつ生きやすい世の中に変わりつつありますが、まだまだ根強く残る偏見もあり、大変なことも少なくないと思います。 人によって直面する困難も異なることでしょう。 毎日ではないかもしれないけれど、何かあったときに行ける場所があること、相談できる誰かがいることはとても大切なことだと思います。 違いを持つ一人一人がお互いを大切にできる社会はたくさんの人にとっても生きやすい社会だと信じています。 こどまっぷでは人との繋がりを、優しさや力に変えて日々活動を続けています。 ※ここに書いてあることは個人の意見でもあります。なお、断りのない文章や画像の無断転載、無断使用などは一切禁止いたします。必ずお問い合わせください。