全米アジア・太平洋諸国クィア連盟 (NQAPIA) インタビュー その2

-グレンさん以外の方も自己紹介をお願いします。

マーシャ:

私はトランスジェンダーの息子の母です。15歳の時にレズビアンだとカミングアウトされ、その 5年後に FtM だと言われました。トランスジェンダーだとカミングアウトされてからは、息子の為に世界を安全にする必要があると強く考えるようになり、活動家になるために仕事を辞めました。私はこれまでの生きてきた道についての本を書き、南カリフォルニアにアジア・太平洋諸国出身者の為の LGBT 家族の会を設立しました。 私と息子は LGBT 当事者と家族に最初は大変でも最終的には幸せになれることを伝える為に一緒に公演をしています。今では息子がカミングアウトをしてくれたことに対して、家族が経験してきたことに対して、すごく感謝をしています。

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アヤ:

アヤです。

私の娘は全米的に同性婚が認められる直前に結婚をしました。私は元々娘のセクシャリティが何であっても大丈夫だという風に言ってきて育てたので、カミングアウトされた時もさほど驚かなかったし、娘からしたらそっけなかったかもしれません。私自身はアメリカと日本の結婚の形態の大きな違いは戸籍だと感じています。

娘は日本とアメリカのパスポートを持っていますが、

通常結婚すると日本に届けなくてはいけないけど実はまだしていません。

どのような形で届け出を出せるのかも正直わかってません。

日本の戸籍は昔からの家父長制的なものを受け継ぎ過ぎているので、アメリカのように「伴侶」ではなく、「妻、夫」という形が決まっている日本の結婚制度の中で、今後日本の同性婚の家族の形態についてもっと考えないとダメだと思っています。

家族という形を考えずに同性婚をするのはどうなのか、一遍にやってしまった方がいいのか、正直どうなのかわからないとおもっています。

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クリス:

グレンと結婚していて、グレンと同じように弁護士をしています。

グレンと一緒に子供を育てています。

同性婚のあるアメリカでも男親二人で道を歩けば周りの人から変わった眼で見られることがあります。男親だから、何もわからないと言う様にみる人もいます。同性婚のおかげで権利はあるけどそれは始まりであり、全てではないと思います。子供がいると他の親と同じで、カップルとしての会話も子供が中心で、何を食べたか、学校でどうしていたかなど、子どもが日常の全てになりました。とてもありきたりの生活をして、息子第一に考えています。

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(マルコム君に向かって) 自己紹介する?

マルコム君(グレンとクリスの息子):

僕は電車が好き、東京ではゲーセンが一番楽しかった。男親二人に関してオッケーな感じ。(グレンはパパ、クリスはダッドと呼び方を分けています)

-立ち入った質問になりますが、マルコム君はどのようにお二人のもとに来ることになったのでしょうか。

クリス:

私は長いこと子供は欲しくなく、いつか欲しいなって思っていたぐらいでした。ある日、グレンにそのいつかは今日になると言われました。マルコムは今10歳で10年前はゲイカップルが子供を養子に貰える場所はアメリカにもあまりありませんでした。私たちはどのオプションが一番いいか探していると孤児院とエイジェンシーがありました。エイジェンシーの方が多く、中でも安心できるところが見つかりました。エイジェンシーは子どもを育てることができない女性を見つける活動をしていました。そして私達はかなり早い段階で近くに住んでいた妊娠中の女性に会い、彼女は自分たちの事を気にいってくれました。彼女にとって一番の懸念は生まれてくる子供にとって、我々が一番の家庭を作ってくれるかという部分でした。女性に会ってから数カ月でマルコムは産まれました。私は当時選挙関係の仕事をしていましたが、マルコムは選挙当日の二日前に生まれたので大変でした。グレンが病院に駆けつけて、病院に許可されてすぐ家に連れて帰りました。私たちの養子縁組体験はあまり典型的なものではなく、ゲイカップルだけで無く、他の人と比べてもかなりかかった期間も短いと言えます。運命的なところもあったのだと思います。

グレン:

それに付け足すと、大きな括りでは国内・国際の養子縁組があり、その内国内の養子縁組ではエイジェンシーを使うか行政機関から子供を受け入れるか二つの選択肢がありました。行政からの子供は親が刑務所に入っている・薬物依存者である・子供を虐待している関係で子供を養子縁組に出すシステムです。マルコムの生みの母親はある男に出会い、運命のひとだと思って妊娠をしたけれどうまくいかず、既に子供が4人いたので5人目を育てることは出来ませんでした。私達は子どもを引き取るにあたり、二種類の申し込みをしました。一つ目はゲイカップルとしての申し込み、2つめは一人親としての物を出しました。日本と違い、アメリカでは結婚しなくても一人の親が子供を養子に貰えるシステムなので、養子に対する文化が違います。

-なるほど、日本ではまだまだ養子縁組についての条件も厳しく、いわゆる普通の男女の夫婦であっても、ハードルが高いと聞きます。お話を聞いているとアメリカでは「子供のための」養子縁組システムが進んでいるようですね。

 (続く)